OS・システム用語集【中級】
プロセス管理、メモリ管理、ファイルシステム、仮想化、コンテナなど、実務で必要なOS・システムの中級用語を学習できます
用語数統計
OS・システム中級技術について
中級レベルのOS・システム技術では、プロセス管理、メモリ管理、ファイルシステム、仮想化、コンテナ技術などの実務で重要な概念を学習します。これらの技術は現代のシステム運用やインフラ構築において不可欠であり、システムエンジニアとして必要な知識基盤を提供します。
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Linux
(リナックス) Linux 中級オープンソースのUnix系オペレーティングシステム。サーバー、組み込みシステム、デスクトップで広く使用される。Linuxは、Linus Torvalds が開発したオープンソースのUnix系オペレーティングシステムです。GPLライセンスの下で自由に利用・改変でき、Ubuntu、CentOS、Red Hat、Debianなど多数のディストリビューションがあります。高い安定性、セキュリティ、カスタマイズ性を持ち、Webサーバー、クラウドインフラ、組み込みシステム、スーパーコンピュータで広く採用されています。コマンドライン操作が特徴的です。
例: Ubuntu, CentOS, Red Hat, Debian -
OSスケジューリング
(おーえすスケジューリング) OS Scheduling 中級複数のプロセスに対してCPU時間を効率的に割り当てる管理手法。FCFS、SJF、ラウンドロビンなどの方式がある。OSスケジューリングは、複数のプロセスに対してCPU時間を効率的に割り当てる管理手法です。主なアルゴリズムには、FCFS(First Come First Served)、SJF(Shortest Job First)、ラウンドロビン、優先度スケジューリング、多段階キュースケジューリングがあります。それぞれに特徴があり、応答時間、スループット、公平性などの観点から評価されます。プリエンプティブ(横取り)とノンプリエンプティブ(非横取り)の区別も重要です。現代のOSでは、複数のアルゴリズムを組み合わせた複合方式が使用されています。
例: FCFS, SJF, ラウンドロビン, 優先度スケジューリング -
OS機能
(オーエスきのう) Operating System Functions 中級オペレーティングシステムが提供する基本機能群。プロセス管理、メモリ管理、ファイル管理、入出力管理、ジョブ管理の5大機能からなる。OS機能は、コンピュータシステム全体を効率的に管理するための機能群です。基本情報技術者試験では、(1)プロセス管理:プロセススケジューリング、プロセス間通信、(2)メモリ管理:仮想記憶、ページング、スワッピング、(3)ファイル管理:ディレクトリ構造、アクセス制御、(4)入出力管理:デバイスドライバ、割り込み処理、(5)ジョブ管理:ジョブスケジューリング、バッチ処理などが重要です。
例: プロセス管理, メモリ管理, ファイル管理, 入出力管理, ジョブ管理 -
オペレーティングシステム
(オペレーティングシステム) Operating System 中級コンピュータのハードウェアとアプリケーションソフトの間でリソース管理を行う基本ソフトウェア。OS(オペレーティングシステム)は、コンピュータシステム全体を管理する基本ソフトウェアです。基本情報技術者試験では、プロセス管理、メモリ管理、ファイル管理、入出力管理、ジョブ管理の5大機能が重要です。プロセススケジューリング(FCFS、SJF、RR、多重レベルフィードバック)、同期・排他制御(セマフォ、モニタ)、デッドロック、仮想記憶管理、ファイルシステム(FAT、NTFS、ext)、割り込み処理なども出題されます。
例: プロセス管理, メモリ管理, ファイルシステム, スケジューリング -
コンテナ
(コンテナ) Container 中級アプリケーションとその実行環境を軽量にパッケージ化する仮想化技術。仮想マシンより軽量で高速起動が可能。コンテナ(Container)は、アプリケーションとその依存関係を軽量にパッケージ化する仮想化技術です。OS レベルでの仮想化により、仮想マシンと比較してオーバーヘッドが少なく、高速起動、高い移植性を実現します。Docker が代表的な実装で、Kubernetes によるオーケストレーション、マイクロサービスアーキテクチャ、CI/CD パイプライン、クラウドネイティブ開発の核となる技術です。
例: Docker, Podman, LXC, コンテナイメージ -
システムコール
(システムコール) System Call 中級アプリケーションがOS の機能を利用するためのインターフェース。特権命令の実行を可能にする。システムコール(System Call)は、ユーザーレベルのプログラムがオペレーティングシステムの機能を利用するためのプログラミングインターフェースです。基本情報技術者試験では、カーネルモードへの切り替え、トラップ命令、パラメータ渡し、戻り値処理の仕組みが重要です。ファイル操作(open、read、write、close)、プロセス制御(fork、exec、wait、exit)、メモリ管理(malloc、free)、通信(socket、pipe)等の分類があります。APIラッパー関数との関係、システムコールオーバーヘッド、セキュリティ境界の役割も理解が必要です。
例: open, read, write, fork -
スケジューリングアルゴリズム
(スケジューリングアルゴリズム) Scheduling Algorithm 中級CPU時間をプロセス間で効率的に分配するアルゴリズム。応答時間とスループットの最適化を図る。スケジューリングアルゴリズム(Scheduling Algorithm)は、CPU時間を複数のプロセス間で効率的に分配する手法です。基本情報技術者試験では、FCFS(先入先出)、SJF(最短ジョブ優先)、ラウンドロビン、優先度スケジューリング、マルチレベルフィードバックキューの概念が重要です。応答時間、待機時間、スループット、CPU使用率の評価指標により性能を測定します。リアルタイムシステムでは、デッドライン制約、優先度逆転問題への対応も必要で、プリエンプティブ・ノンプリエンプティブスケジューリングの使い分けが重要です。
例: ラウンドロビン, 最短ジョブ優先, 優先度スケジューリング, タイムスライス -
デーモンプロセス
(デーモンプロセス) Daemon Process 中級バックグラウンドで継続実行されるシステムプロセス。ユーザーの直接操作なしに、システムサービスや管理タスクを提供。デーモンプロセス(Daemon Process)は、システム起動時から終了時まで継続的にバックグラウンドで動作し、特定のサービスや機能を提供するプロセスです。通常、端末から切り離されて実行され、httpd(Webサーバー)、sshd(SSH接続)、crond(スケジュール実行)などがあります。プロセス名は通常'd'で終わり、システムの基盤機能を担います。
例: httpd, sshd, mysqld, systemd, crond -
デバイスドライバ
(デバイスドライバ) Device Driver 中級OS とハードウェアデバイス間の通信を仲介するソフトウェア。デバイス固有の制御を抽象化する。デバイスドライバ(Device Driver)は、オペレーティングシステムとハードウェアデバイス間の通信を仲介する特殊なソフトウェアです。基本情報技術者試験では、カーネルモード動作、ハードウェア抽象化、割り込み処理、DMA(Direct Memory Access)、プラグアンドプレイの概念が重要です。各デバイス(プリンタ、ネットワークカード、グラフィックカード等)固有の制御方法を隠蔽し、アプリケーションが統一的なインターフェースでハードウェアを利用できます。ドライバの不具合はシステム全体に影響するため、署名検証や仮想化による保護も重要です。
例: カーネルモード, 割り込み処理, DMA, プラグアンドプレイ -
ファイルシステム
(ファイルシステム) File System 中級OS がファイルとディレクトリを管理する仕組み。データの格納、検索、アクセス制御を提供する。ファイルシステム(File System)は、ストレージデバイス上でファイルとディレクトリを組織化・管理するシステムです。基本情報技術者試験では、階層型ディレクトリ構造、絶対パス・相対パス、inode、FAT、NTFS、ext4 等のファイルシステム形式が重要です。ファイルの作成・読み取り・更新・削除(CRUD)、アクセス権限(read/write/execute)、リンク(ハード・ソフト)、ジャーナリング機能により、データの整合性と高速アクセスを実現します。分散ファイルシステムやネットワークファイルシステムも含まれます。
例: ディレクトリ構造, inode, NTFS, アクセス権限 -
ブートプロセス
(ブートプロセス) Boot Process 中級コンピュータの電源投入からOSが完全に起動するまでの一連の処理。BIOS/UEFI、ブートローダー、カーネル初期化を含む。ブートプロセス(Boot Process)は、コンピュータの電源投入からOSが完全に起動するまでの一連の処理です。POST(電源投入時自己診断)、BIOS/UEFI起動、ブートデバイス検索、ブートローダー(GRUB、Windows Boot Manager)実行、カーネル読み込み、システムサービス起動、ユーザーログイン画面表示の順序で進行します。各段階での問題は起動失敗の原因となり、トラブルシューティングに重要な知識です。
例: POST, GRUB, ブートローダー, カーネル初期化 -
プロセス
(プロセス) Process 中級実行中のプログラムの単位。独立したメモリ空間を持ち、OSによって管理・制御される。プロセス(Process)は、実行中のプログラムの単位で、独立したメモリ空間、プロセスID(PID)、実行状態を持ちます。OSのプロセススケジューラによって時分割で実行され、作成、実行、待機、終了のライフサイクルを持ちます。プロセス間通信(IPC)、フォーク、エグゼック、シグナル処理などの機能があり、マルチタスキング環境での安定性とセキュリティを提供します。スレッドとは異なり、プロセス間はメモリ空間が分離されています。
例: PID, フォーク, プロセス間通信, シグナル -
プロセス・スレッド
(プロセス・スレッド) Process and Thread 中級プロセスは実行中のプログラムの単位、スレッドはプロセス内の実行単位。並行処理の基本概念。プロセスは実行中のプログラムの単位で、独立したメモリ空間を持ちます。スレッドはプロセス内の実行単位で、同一プロセス内でメモリ空間を共有します。マルチプロセッシングでは複数のプロセスが同時実行され、マルチスレッドでは同一プロセス内で複数のスレッドが並行実行されます。プロセス間通信(IPC)、排他制御、デッドロック回避などの同期機構が重要です。現代のOSでは、効率的なリソース利用とレスポンス向上のため、これらの概念が活用されています。
例: マルチプロセッシング, マルチスレッド, プロセス間通信, 排他制御 -
プロセススケジューリング
(プロセススケジューリング) Process Scheduling 中級複数のプロセスが効率的にCPUを共有するための実行順序決定アルゴリズム。システム全体のパフォーマンスと応答性を最適化。プロセススケジューリング(Process Scheduling)は、複数のプロセスが限られたCPUリソースを効率的に共有するため、実行順序や実行時間を決定するアルゴリズムです。FCFS(先着順)、SJF(最短ジョブ優先)、RR(ラウンドロビン)、CFS(完全公平スケジューラ)などの方式があり、スループット、応答時間、公平性のバランスを取ります。
例: FCFS, SJF, Round Robin, CFS, 優先度スケジューリング -
プロセス管理
(プロセスかんり) Process Management 中級OS がプロセスの生成、実行、終了を制御する機能。CPU時間の割り当てやリソース管理を行う。プロセス管理(Process Management)は、オペレーティングシステムがプロセス(実行中のプログラム)を制御する重要な機能です。基本情報技術者試験では、プロセス状態(実行・待機・準備)、プロセススケジューリング(ラウンドロビン、優先度制御)、コンテキストスイッチ、プロセス間通信(IPC)の概念が重要です。親プロセスと子プロセス、フォーク、プロセスID(PID)、マルチタスク処理により、複数のプログラムが同時実行されているように見せます。デッドロック、競合状態の回避も重要な課題です。
例: プロセススケジューリング, コンテキストスイッチ, フォーク, PID -
ページング
(ページング) Paging 中級仮想メモリ管理技術の一つ。メモリを固定サイズのページに分割し、物理メモリとの対応をページテーブルで管理。ページング(Paging)は、仮想メモリ管理において、論理アドレス空間と物理メモリを固定サイズの単位(ページ)に分割し、ページテーブルによって対応関係を管理する技術です。メモリの断片化を回避し、プロセス間のメモリ保護、スワッピング、コピーオンライト(COW)などの高度な機能を実現します。現代のOSで広く採用されています。
例: ページテーブル, TLB, ページフォルト, スワップ -
メモリ管理
(メモリかんり) Memory Management 中級OS が物理メモリと仮想メモリを効率的に管理する機能。ページング、スワッピング等の技術を使用。OS のメモリ管理(Memory Management)は、限られた物理メモリを複数のプロセスで効率的に共有する仕組みです。基本情報技術者試験では、仮想メモリ、ページング、セグメンテーション、スワッピング、メモリ保護の概念が重要です。仮想アドレスと物理アドレスの変換、ページテーブル、TLB(Translation Lookaside Buffer)、ページフォルト処理により、プロセスが独立したメモリ空間を持てます。ガベージコレクション、メモリリーク検出、メモリプール等の高度な管理技法も含まれます。
例: 仮想メモリ, ページング, スワッピング, ページテーブル -
ユーザー空間
(ユーザーくうかん) User Space 中級一般的なアプリケーションが実行される制限されたメモリ領域。カーネル空間と分離されセキュリティを確保する。ユーザー空間(User Space)は、一般的なアプリケーションプログラムが実行される制限されたメモリ領域です。カーネル空間とは分離され、直接的なハードウェアアクセスや特権操作は禁止されています。システムコールを通じてカーネル機能にアクセスし、プロセス間のメモリ保護、システムの安定性確保、セキュリティ向上を実現します。アプリケーション開発者が通常操作する領域で、一般的なプログラミングタスクが実行されます。
例: アプリケーション実行, システムコール, メモリ保護, プロセス分離 -
ロードバランサー
(ロードバランサー) Load Balancer 中級複数のサーバーに処理負荷を分散するシステム。高可用性とスケーラビリティを実現し、単一障害点を回避。ロードバランサー(Load Balancer)は、複数のサーバーに対してクライアントからの要求を適切に分散する仕組みです。ラウンドロビン、重み付き、最小接続数、レスポンス時間などの分散アルゴリズムを使用し、高可用性、スケーラビリティ、パフォーマンス向上を実現します。L4(トランスポート層)とL7(アプリケーション層)の負荷分散があります。
例: NGINX, HAProxy, F5, AWS ELB, ラウンドロビン -
仮想マシン
(かそうマシン) Virtual Machine 中級物理的なコンピュータ上で動作する仮想的なコンピュータ環境。複数のOS を同時実行可能。仮想マシン(Virtual Machine、VM)は、物理的なハードウェア上で動作する仮想的なコンピュータ環境です。基本情報技術者試験では、ハイパーバイザー(Type 1・Type 2)、ハードウェア仮想化、リソース分離、スナップショット機能の概念が重要です。VMware、VirtualBox、Hyper-V、KVM等の仮想化技術により、1台の物理サーバー上で複数のOSが同時実行でき、サーバー統合、開発環境構築、テスト環境分離に活用されます。コンテナ技術との違い、パフォーマンスオーバーヘッド、ライセンス考慮事項も理解が必要です。
例: ハイパーバイザー, VMware, VirtualBox, スナップショット -
仮想化
(かそうか) Virtualization 中級物理的なハードウェアリソースを論理的に分割・抽象化し、複数の仮想環境を作成する技術。効率的なリソース利用とシステム管理を実現。仮想化(Virtualization)は、物理的なハードウェアリソース(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク)を論理的に分割・抽象化し、複数の独立した仮想環境を作成する技術です。ハイパーバイザー型、ホスト型、コンテナ型など複数の方式があり、リソース効率化、運用コスト削減、迅速なプロビジョニング、障害分離などのメリットを提供します。
例: VMware, Hyper-V, KVM, VirtualBox, Docker -
仮想記憶
(かそうきおく) Virtual Memory 中級物理メモリより大きなアドレス空間を提供する記憶管理技術。ページング、セグメント方式などがある。仮想記憶は、物理メモリより大きなアドレス空間をプログラムに提供する記憶管理技術です。プログラムは仮想アドレスを使用し、MMU(Memory Management Unit)が物理アドレスに変換します。ページング方式では、メモリを固定サイズのページに分割し、必要に応じて二次記憶装置(HDD/SSD)とページを交換します。ページフォルト、スワッピング、LRU(Least Recently Used)などの置換アルゴリズムが重要な概念です。メモリ使用効率の向上と、複数プログラムの同時実行を可能にします。
例: ページング, セグメント, ページフォルト, LRU