データベース用語集【上級】
RDBMS、NoSQL、SQL、データウェアハウスなど、データベースの重要な用語を学習できます
用語数統計
データベースについて
データベースは、大量のデータを効率的に保存・管理・検索するためのシステムです。関係データベース(RDBMS)、NoSQLデータベース、データウェアハウス、インメモリデータベースなど、様々な種類があり、用途に応じて適切なものを選択することが重要です。
データベース用語一覧
24個の重要な用語を詳細解説付きで紹介
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パーティショニング
(パーティショニング) Partitioning 上級大きなテーブルを複数の小さな部分に分割する技術。パフォーマンス向上、管理容易性、可用性の改善を目的とする。パーティショニングは、大きなテーブルを複数の小さな部分(パーティション)に論理的または物理的に分割するデータベース技術です。Range(範囲)、Hash(ハッシュ)、List(リスト)、Composite(複合)などの分割方法があり、クエリ性能の向上、管理の簡素化、バックアップ・復旧時間の短縮を実現します。特に大量データを扱うデータウェアハウスやOLAPシステムで威力を発揮します。
例: Range分割, Hash分割, パーティション・プルーニング, 並列処理 -
レプリケーション
(レプリケーション) Replication 上級データベースのデータを複数のサーバーに複製する技術。可用性向上、負荷分散、災害復旧に利用される。レプリケーションは、マスターデータベースの変更を1つ以上のスレーブデータベースに自動的に複製する技術です。同期レプリケーション、非同期レプリケーション、マスター・スレーブ構成、マスター・マスター構成など様々な形態があり、システムの可用性向上、読み取り負荷の分散、地理的分散、災害復旧に重要な役割を果たします。
例: マスター・スレーブ, 同期レプリケーション, 地理的分散, フェイルオーバー -
OLAP
(オーエルエーピー) Online Analytical Processing 上級多次元データ分析を高速に実行するためのデータベース技術。ビジネスインテリジェンスやデータ分析に使用される。OLAP(Online Analytical Processing)は、多次元データ構造を使用して複雑な分析クエリを高速実行するデータベース技術です。ROLAP(関係OLAP)、MOLAP(多次元OLAP)、HOLAP(ハイブリッドOLAP)の種類があり、スライス・ダイス、ドリルダウン・ドリルアップ、ピボット操作により多角的なデータ分析を支援します。
例: キューブ, ディメンション, メジャー, ドリルダウン -
分散データベース
(ぶんさんデータベース) Distributed Database 上級複数のコンピュータに分散配置されたデータベースシステム。スケーラビリティと可用性を向上させる。分散データベースは、複数の物理的な場所に配置されたデータベースが論理的に一つのシステムとして動作するアーキテクチャです。データの断片化(フラグメンテーション)、複製(レプリケーション)、分散トランザクション処理、分散クエリ最適化などの技術により、スケーラビリティ、可用性、性能の向上を実現します。
例: 水平分割, 垂直分割, 2相コミット, 分散結合 -
データマイニング
(データマイニング) Data Mining 上級大量のデータから有用なパターンや知識を発見する技術。機械学習アルゴリズムを使用してデータから洞察を得る。データマイニングは、大量のデータセットから統計的手法、機械学習、パターン認識技術を用いて有用な情報や知識を抽出するプロセスです。分類、クラスタリング、関連ルール、異常検知、予測分析などの手法により、ビジネス価値の高い洞察を発見し、意思決定を支援します。
例: クラスタリング, 分類, 関連ルール, 異常検知 -
NoSQL
(ノーエスキューエル) NoSQL 上級関係データベース以外のデータベース技術の総称。ドキュメント型、キーバリュー型、カラム型、グラフ型などがある。NoSQL(Not Only SQL)は、関係データベースモデル以外のデータベース技術の総称で、大規模分散システムや多様なデータ形式に対する柔軟性を重視して設計されています。ドキュメント型(MongoDB)、キー・バリュー型(Redis)、カラム族(Cassandra)、グラフ型(Neo4j)に分類され、それぞれ特定の用途に最適化されています。
例: MongoDB, Cassandra, Redis, Neo4j -
データウェアハウス
(データウェアハウス) Data Warehouse 上級企業の意思決定支援を目的とした統合データ格納システム。ETL処理により複数の情報源からデータを統合・蓄積する。データウェアハウスは、企業の様々な業務システムから収集したデータを統合・変換・蓄積し、分析・レポーティングに最適化された読み取り専用のデータベースシステムです。主題指向、統合、時系列、非揮発性の特徴を持ち、スタースキーマやスノーフレークスキーマによる多次元モデルでデータを構造化します。
例: ETL, スタースキーマ, ファクトテーブル, ディメンションテーブル -
データレイク
(データレイク) Data Lake 上級構造化・非構造化を問わず大量のデータを元の形式のまま格納するストレージシステム。分析時に必要に応じてデータを処理する。データレイクは、様々な形式・構造のデータを元の状態で大量保存できるストレージリポジトリで、「Schema on Read」アプローチを採用しています。構造化データ、半構造化データ、非構造化データを統合的に管理し、機械学習、分析、レポーティングなど多様な用途に柔軟に対応できる現代的なデータアーキテクチャの中核です。
例: Amazon S3, Azure Data Lake, Hadoop HDFS, Schema on Read -
ACID特性
(アシッドとくせい) ACID Properties 上級データベーストランザクションの信頼性を保証する4つの特性。原子性、一貫性、独立性、永続性から構成される。ACID特性は、データベーストランザクションの信頼性を保証する基本原則です。Atomicity(原子性:全成功または全失敗)、Consistency(一貫性:制約ルールの維持)、Isolation(独立性:トランザクション間の干渉防止)、Durability(永続性:コミット後の永続保存)により、システム障害や同時実行環境でもデータの整合性を確保します。
例: トランザクション, コミット, ロールバック, 分離レベル -
CAP定理
(キャップていり) CAP Theorem 上級分散システムで一貫性、可用性、分断耐性の3つを同時に満たすことは不可能であることを示す定理。CAP定理(Brewer's Theorem)は、分散データベースシステムにおいてConsistency(一貫性)、Availability(可用性)、Partition tolerance(分断耐性)の3つの保証を同時に実現することは不可能であることを示す理論です。ネットワーク分断発生時にはCP型(一貫性重視)またはAP型(可用性重視)の選択が必要となり、分散システム設計の根本的制約となります。
例: MongoDB(CP型), DynamoDB(AP型), ネットワーク分断, 結果整合性 -
インデックス
(インデックス) Index 上級データベースの検索性能を向上させるためのデータ構造。B-tree、ハッシュ、ビットマップなどの種類がある。インデックスは、データベーステーブルの検索性能を向上させるための補助的なデータ構造です。B-treeインデックス(範囲検索に最適)、ハッシュインデックス(等価検索に高速)、ビットマップインデックス(低カーディナリティデータに効果的)、全文検索インデックスなど、用途に応じた多様な種類があり、クエリ最適化の重要な要素です。
例: B-tree, ハッシュ, ビットマップ, 全文検索 -
ストアドプロシージャ
(ストアドプロシージャ) Stored Procedure 上級データベースサーバー内に事前に保存された実行可能なプログラム。複数のSQL文をまとめて効率的に実行できる。ストアドプロシージャは、データベースサーバー内に保存される事前コンパイル済みのプログラムで、複数のSQL文、制御構造(IF、WHILE、FOR)、変数、例外処理を組み合わせた複雑な処理を効率的に実行できます。ネットワークトラフィックの削減、セキュリティ向上、業務ロジックの一元化、性能向上などの利点があります。
例: パラメータ, 戻り値, 例外処理, トランザクション制御 -
マテリアライズドビュー
(マテリアライズドビュー) Materialized View 上級クエリ結果を物理的に保存したビュー。複雑な集計処理や結合処理の性能向上に使用される。マテリアライズドビューは、複雑なクエリの実行結果を物理的にストレージに保存する特殊なデータベースオブジェクトです。通常のビュー(仮想テーブル)とは異なり、実際のデータを保持するため、高速なアクセスが可能です。自動リフレッシュ、増分リフレッシュ、手動リフレッシュなどの更新方式により、基底テーブルとの同期を管理します。
例: 自動リフレッシュ, 増分更新, 集計済みデータ, クエリリライト -
データベース正規化
(データベースせいきか) Database Normalization 上級データの冗長性を排除し、整合性を保つためのデータベース設計手法。第1正規形から第3正規形まである。データベース正規化は、関係データベース設計において、データの冗長性(重複)を体系的に排除し、データの整合性と保守性を向上させる設計手法です。第1正規形(1NF:原子値の原則)、第2正規形(2NF:部分関数従属の排除)、第3正規形(3NF:推移関数従属の排除)、BCNF(ボイス・コッド正規形)など段階的な正規化により、更新異常、挿入異常、削除異常を防止します。
例: 第1正規形, 第2正規形, 第3正規形, BCNF -
分離レベル
(ぶんりレベル) Isolation Level 上級並行実行されるトランザクション間の相互作用を制御するレベル。Read Uncommitted、Read Committed、Repeatable Read、Serializableがある。分離レベルは、データベースの同時実行制御において、複数のトランザクションが並行実行される際の相互干渉の程度を制御する設定です。Read Uncommitted(未コミット読み取り)、Read Committed(コミット済み読み取り)、Repeatable Read(反復可能読み取り)、Serializable(直列化可能)の4段階があり、一貫性とパフォーマンスのトレードオフを調整します。
例: ダーティリード, 非反復読み取り, ファントムリード, デッドロック -
データモデリング
(データモデリング) Data Modeling 上級現実世界のデータ要件をデータベース設計に変換する手法。概念モデル、論理モデル、物理モデルの段階で設計する。データモデリングは、現実世界のビジネス要件をデータベース構造に変換する体系的な設計手法です。概念モデル(エンティティと関係の抽象化)、論理モデル(正規化とデータ型の決定)、物理モデル(パフォーマンスとストレージの最適化)の3段階でデータ構造を詳細化し、効率的で保守性の高いデータベース設計を実現します。
例: ER図, UMLクラス図, 概念モデル, 物理設計 -
クエリオプティマイザ
(クエリオプティマイザ) Query Optimizer 上級SQLクエリの最適な実行計画を自動的に選択するデータベースエンジンの機能。コストベース最適化が主流。クエリオプティマイザは、SQLクエリを効率的に実行するための最適な実行計画を自動選択するデータベースエンジンの中核機能です。統計情報、インデックス情報、コスト関数を基に、結合順序、アクセス方法、実行アルゴリズムを決定し、クエリ実行時間を最小化します。ルールベース最適化からコストベース最適化への進化により高度な最適化が実現されています。
例: 実行計画, コスト関数, 統計情報, 結合順序 -
バックアップとリストア
(バックアップとリストア) Backup and Restore 上級データの損失を防ぐためのデータ保護と復旧手法。完全バックアップ、差分バックアップ、増分バックアップがある。バックアップとリストアは、システム障害、人的ミス、災害からデータを保護し、必要時に復旧するための重要な運用プロセスです。完全バックアップ(全データ)、差分バックアップ(前回完全バックアップ後の変更分)、増分バックアップ(前回バックアップ後の変更分)、トランザクションログバックアップなど、RTO(復旧時間目標)とRPO(復旧時点目標)に応じた戦略を選択します。
例: 完全バックアップ, 差分バックアップ, 増分バックアップ, ポイントインタイム復旧 -
データベースセキュリティ
(データベースセキュリティ) Database Security 上級データベース内のデータを不正アクセスや改ざんから保護するセキュリティ対策。暗号化、アクセス制御、監査ログが主要技術。データベースセキュリティは、機密データを不正アクセス、改ざん、漏洩から保護する包括的なセキュリティ対策です。認証・認可(ユーザー管理とアクセス権限)、データ暗号化(保存時・転送時・使用時)、ネットワークセキュリティ、監査ログ、脆弱性管理、データマスキング、行レベルセキュリティなど多層防御により情報資産を保護します。
例: TDE暗号化, 行レベルセキュリティ, 監査ログ, アクセス制御 -
データベース接続プール
(データベースせつぞくプール) Database Connection Pool 上級データベースへの接続を事前に確立し再利用する仕組み。接続コストを削減し、システムのパフォーマンスを向上させる。データベース接続プールは、アプリケーションとデータベース間の接続を効率的に管理するミドルウェア技術です。事前に一定数の接続を確立してプールに保持し、アプリケーションからの要求に応じて接続を貸し出し・回収することで、接続確立・切断のオーバーヘッドを削減し、システム全体のスケーラビリティとパフォーマンスを向上させます。
例: HikariCP, Apache DBCP, 接続プール監視, コネクションリーク -
データベースチューニング
(データベースチューニング) Database Tuning 上級データベースのパフォーマンスを最適化するための調整作業。クエリ最適化、インデックス設計、システム設定の調整を行う。データベースチューニングは、システムのパフォーマンス要件を満たすために、データベースの設定、構造、クエリを体系的に最適化するプロセスです。クエリチューニング(SQL最適化、実行計画分析)、インデックスチューニング、メモリ設定、I/O最適化、統計情報管理、パーティショニング設計など、多角的なアプローチによりシステム全体の性能向上を実現します。
例: 実行計画分析, インデックス最適化, 統計情報更新, メモリチューニング -
データベース移行
(データベースいこう) Database Migration 上級データベースシステムやバージョンを変更する際のデータとスキーマの移行作業。計画、実行、検証の段階的なプロセス。データベース移行は、異なるデータベースシステム間またはバージョン間でデータ、スキーマ、アプリケーションを安全に移行するプロセスです。移行計画策定、スキーマ変換、データ変換、アプリケーション対応、性能検証、切り替え手順など、リスク最小化とダウンタイム短縮を重視した段階的なアプローチが重要です。
例: スキーマ変換, データ変換, 並行運用, ロールバック計画 -
データ仮想化
(データかそうか) Data Virtualization 上級複数の異なるデータソースを統合し、単一のビューとして提供する技術。物理的なデータ統合なしにデータアクセスを実現。データ仮想化は、物理的に分散した異種データソース(RDBMS、NoSQL、ファイル、API等)を論理的に統合し、単一の仮想データレイヤーとして提供する技術です。ETL処理によるデータ移動なしに、リアルタイムでのデータアクセスと統合クエリを実現し、アジリティ向上とTCO削減を両立します。
例: フェデレーション, データファブリック, 仮想ビュー, リアルタイム統合 -
データガバナンス
(データガバナンス) Data Governance 上級組織のデータ資産の管理・統制を行うフレームワーク。データ品質、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスを包括的に管理。データガバナンスは、組織のデータ資産を戦略的に管理するためのポリシー、プロセス、組織体制の総合的なフレームワークです。データ品質管理、メタデータ管理、マスターデータ管理、データライフサイクル管理、プライバシー保護、法規制遵守など、データの価値最大化とリスク最小化を両立する統制機能を提供します。
例: データカタログ, 品質管理, メタデータ, コンプライアンス