ハードウェア用語集【上級】
FPGA、ASIC、PCIe、RISC-V、ECC メモリ、量子コンピューティングなど、経験豊富なエンジニア・応用情報技術者試験レベルの高度な概念を学習できます
用語数統計
ハードウェア応用技術について
現代のハードウェア技術は急速に進歩し、AI/ML専用チップ、量子コンピューティング、超高速インターコネクトなど最先端の技術が実用化されています。このページでは、経験豊富なエンジニアや応用情報技術者試験レベルの高度なハードウェア概念を体系的に学習できるよう構成しています。
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FPGA
(エフピージーエー) Field-Programmable Gate Array 上級製造後にプログラミング可能な集積回路。ハードウェア処理をソフトウェアで設計でき、高速並列処理が可能。FPGA(Field-Programmable Gate Array)は、製造後にユーザーがプログラミングできる集積回路です。HDL(Hardware Description Language)を使って論理回路を記述し、専用ハードウェアを構築できます。AI推論処理、暗号化処理、信号処理、プロトタイピングなどで高いパフォーマンスを発揮します。
例: HDL, Verilog, VHDL, 論理回路 -
ASIC
(エーシック) Application-Specific Integrated Circuit 中級特定用途向けの専用集積回路。特定の機能に特化して設計され、高性能・低消費電力を実現。ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)は、特定の用途や機能に特化して設計・製造される集積回路です。汎用プロセッサーと比べて高性能、低消費電力、小型化を実現できます。暗号通貨マイニング、AI推論チップ、通信機器などで使用されています。
例: 暗号通貨マイニングチップ, AI推論チップ, 通信プロセッサ -
PCIe
(ピーシーアイイー) Peripheral Component Interconnect Express 上級高速シリアルバス規格。GPUやSSDなど高性能デバイスとCPUを接続し、高帯域幅のデータ転送を実現。PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)は、高速シリアルバス規格で、CPUと各種拡張カードを接続します。レーン数(x1、x4、x8、x16)と世代(Gen1〜Gen5)により転送速度が決まり、GPU、NVMe SSD、ネットワークカードなどで使用されます。
例: PCIe x16, PCIe Gen4, NVMe SSD, GPU接続 -
RISC-V
(リスクファイブ) RISC-V 上級オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)。ライセンス料不要でカスタマイズ可能、エンベデッドシステムから高性能コンピューティングまで対応。RISC-V(リスクファイブ)は、オープンソースの命令セットアーキテクチャです。従来のプロプライエタリなISA(x86、ARM等)と異なり、誰でも無料で利用・拡張できます。モジュラー設計により、IoTデバイスからスーパーコンピューターまで幅広い用途に対応可能で、学術研究や新興企業に人気が高まっています。
例: SiFive、カスタム命令拡張、オープンハードウェア、RISC-V Foundation -
ECCメモリ
(イーシーシーメモリ) Error-Correcting Code Memory 上級メモリエラーを検出・訂正できる高信頼性メモリ。サーバーやミッションクリティカルシステムでデータの完全性を保証。ECCメモリ(Error-Correcting Code Memory)は、メモリエラーを自動的に検出・訂正する機能を持つメモリです。宇宙線や電気的ノイズによる1ビットエラーを訂正し、2ビットエラーを検出できます。サーバー、ワークステーション、科学計算など、データの信頼性が重要なシステムで使用されます。
例: サーバー用RAM、ワークステーション、科学計算、ハミング符号 -
量子コンピューティング
(りょうしコンピューティング) Quantum Computing 上級量子力学の原理を利用した次世代コンピューティング技術。量子ビット(Qubit)により従来では不可能な超並列計算を実現。量子コンピューティングは、量子重ね合わせ、量子もつれなどの量子力学現象を利用したコンピューティング技術です。古典ビットの0または1に対し、量子ビット(Qubit)は0と1の重ね合わせ状態を保持でき、指数関数的な並列計算が可能になります。暗号解読、最適化問題、機械学習での応用が期待されています。
例: IBM Q、Google Sycamore、量子ゲート、量子アルゴリズム、Shor's algorithm -
SoC
(エスオーシー) System on Chip 上級CPU、GPU、メモリ、I/Oインターフェースなどを一つのチップに統合したシステム。モバイルデバイスやIoT機器で広く使用。SoC(System on Chip)は、CPU、GPU、メモリコントローラー、DSP、通信モジュール、I/Oインターフェースなど、コンピューターシステムに必要な主要コンポーネントを単一のチップに統合した集積回路です。Apple M1/M2、Qualcomm Snapdragon、Samsung Exynosなどが代表例で、小型化、低消費電力、高性能を実現し、スマートフォン、タブレット、IoTデバイスで広く採用されています。
例: Apple M1, Snapdragon, Exynos, Raspberry Pi SoC -
GPU
(ジーピーユー) Graphics Processing Unit 中級並列処理に特化した処理装置。グラフィックス処理だけでなく、機械学習、科学計算、暗号通貨マイニングなどで活用。GPU(Graphics Processing Unit)は、元々グラフィックス処理のために設計された並列処理専用プロセッサです。数千のコアを持ち、同時に大量の計算を実行できるため、機械学習(AI)、科学計算、ビッグデータ解析、暗号通貨マイニングなどの用途で重要な役割を果たしています。NVIDIA、AMD、Intelが主要メーカーです。
例: NVIDIA GeForce, AMD Radeon, CUDA, OpenCL -
NVMe
(エヌブイエムイー) Non-Volatile Memory Express 上級PCIe接続の高速SSD向けプロトコル。従来のSATAに比べて大幅に高い転送速度とIOPSを実現。NVMe(Non-Volatile Memory Express)は、PCIe接続のSSD向けに設計された高速通信プロトコルです。従来のSATA接続(約600MB/s)に対し、PCIe 4.0接続では理論値7GB/s以上の転送速度を実現できます。低レイテンシー、高IOPS、並列処理最適化により、データベース、仮想化、高性能ワークステーションで性能向上をもたらします。
例: M.2 NVMe SSD, PCIe 4.0, 高IOPS, 低レイテンシー -
DDR5
(ディーディーアールファイブ) Double Data Rate 5 上級最新世代のDRAM規格。DDR4に比べて高速化、低消費電力化、大容量化を実現し、高性能システムに搭載。DDR5(Double Data Rate 5)は、2020年に標準化された最新のDRAM規格です。DDR4に比べて約2倍の転送速度(最大6400MT/s)、約20%の省電力性、モジュールあたり最大128GBの大容量化を実現しています。オンダイECC機能、デュアルチャネルアーキテクチャにより信頼性も向上し、次世代CPUとの組み合わせで高性能システムを構築できます。
例: 6400MT/s, オンダイECC, デュアルチャネル, 128GB容量 -
ARM アーキテクチャ
(アームアーキテクチャ) ARM Architecture 中級低消費電力に特化したRISC系プロセッサアーキテクチャ。スマートフォン、タブレット、IoTデバイスで広く採用。ARMアーキテクチャは、ARM Holdings社が設計したRISC(Reduced Instruction Set Computer)系プロセッサアーキテクチャです。低消費電力を重視した設計により、バッテリー駆動デバイスに最適で、スマートフォンの90%以上で採用されています。Apple M1/M2、Qualcomm Snapdragon、AWS Gravitonなど、サーバーやデスクトップ分野にも展開が進んでいます。
例: Cortex-A, Cortex-M, Apple M1, AWS Graviton -
TPU
(ティーピーユー) Tensor Processing Unit 上級Googleが開発した機械学習専用ASIC。ニューラルネットワークの推論・学習処理に特化した超高性能プロセッサ。TPU(Tensor Processing Unit)は、Googleが機械学習ワークロード専用に開発したASICです。従来のCPU/GPUと比較して、ニューラルネットワークの行列演算で圧倒的な性能と電力効率を実現します。Google検索、翻訳、画像認識などのサービスで活用され、Google Cloud Platformでも提供されています。現在はTPU v4まで発表されています。
例: TPU v4, Google Cloud TPU, TensorFlow, 行列演算 -
USB-C
(ユーエスビーシー) USB Type-C 中級次世代USB規格のコネクタ形状。リバーシブル設計で高速データ転送、電源供給、映像出力を1つのケーブルで実現。USB-C(USB Type-C)は、小型でリバーシブル(上下どちらでも挿入可能)な次世代USBコネクタです。USB 3.1/3.2/4.0規格をサポートし、最大40Gbpsのデータ転送、最大100Wの電源供給、DisplayPort Alt Mode による4K/8K映像出力が可能です。スマートフォン、ノートPC、タブレットで標準的なコネクタとして普及が進んでいます。
例: USB 4.0, Power Delivery, DisplayPort Alt Mode, Thunderbolt 3/4 -
Thunderbolt
(サンダーボルト) Thunderbolt 上級Intel開発の超高速インターフェース規格。PCIeとDisplayPortを統合し、最大40Gbpsの転送速度で複数デバイスのデイジーチェーン接続が可能。Thunderbolt(サンダーボルト)は、IntelとAppleが共同開発した高速インターフェース規格です。Thunderbolt 4では最大40Gbpsの転送速度を実現し、データ転送、映像出力、電源供給を単一ケーブルで行えます。最大6台のデバイスをデイジーチェーン接続でき、外付けGPU、高解像度モニター、高速ストレージなどプロフェッショナル用途で重要な役割を果たしています。
例: Thunderbolt 4, デイジーチェーン, 外付けGPU, 40Gbps -
HBM
(エイチビーエム) High Bandwidth Memory 上級3D積層構造による超高帯域幅メモリ。GPU や HPC システムで従来GDDR5/6 を大幅に上回る帯域幅を実現。HBM(High Bandwidth Memory)は、複数のDRAMチップを垂直に積層し、Through-Silicon Via(TSV)技術で接続した3D構造メモリです。従来のGDDR6(約900GB/s)に対し、HBM3では最大6TB/sの帯域幅を実現できます。AI/ML処理、スーパーコンピューター、高性能GPUで採用され、大量データの高速処理を支えています。
例: HBM3, TSV技術, 3D積層, AI/MLアクセラレータ -
eMMC
(イーエムエムシー) embedded MultiMediaCard 中級内蔵型フラッシュストレージ規格。小型で低コストながら十分な性能を持ち、スマートフォンやタブレットで広く使用。eMMC(embedded MultiMediaCard)は、NANDフラッシュメモリとコントローラーを一体化した内蔵型ストレージです。BGA実装により基板に直接はんだ付けされ、小型化とコスト削減を実現します。読み書き速度は約300MB/s程度でSSDより低速ですが、スマートフォン、タブレット、Chromebook、IoTデバイスなどで広く採用されています。
例: BGA実装, NANDフラッシュ, モバイルストレージ, 低コスト -
チップレット
(チップレット) Chiplet 上級大きな単一チップを複数の小さなチップ(チップレット)に分割し、パッケージ内で接続する設計手法。歩留まり向上とコスト削減を実現。チップレット(Chiplet)は、従来の単一大型チップを複数の小さな機能別チップに分割し、先進パッケージング技術で接続する設計アプローチです。AMD EPYC/Ryzen、Intel Ponte Vecchio等で採用され、製造歩留まり向上、コスト削減、異なるプロセスノードの混在使用が可能になります。UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)などの標準化も進んでいます。
例: AMD EPYC, Intel Ponte Vecchio, UCIe, 歩留まり向上 -
3D NAND
(スリーディーナンド) 3D NAND Flash 上級フラッシュメモリセルを垂直方向に積層した3次元NAND構造。平面拡張の限界を突破し、高密度化と大容量化を実現。3D NAND(3D NAND Flash)は、従来の平面的な2D NANDに対し、メモリセルを垂直方向に積層した3次元構造のフラッシュメモリです。現在は100層を超える積層が実現され、同じ面積でより多くのデータを格納できます。Samsung、Micron、キオクシアなどが開発を競い、SSD、スマートフォン、データセンターストレージの大容量化を支えています。
例: 100層積層, Samsung V-NAND, QLC NAND, 大容量SSD -
Wi-Fi 6E
(ワイファイシックスイー) Wi-Fi 6E 中級6GHz帯を追加したWi-Fi 6の拡張版。既存の2.4GHz/5GHz帯に加え、より広い帯域と低遅延通信を実現。Wi-Fi 6E(802.11ax-2021)は、従来の2.4GHz/5GHz帯に加えて6GHz帯(5.925-7.125GHz)を使用できるWi-Fi規格です。6GHz帯は他のデバイスとの干渉が少なく、より多くのチャネルを利用できるため、高密度環境での性能向上、低遅延、安定した通信を実現します。VR/AR、ゲーミング、8K動画ストリーミングなどで威力を発揮します。
例: 6GHz帯, 低遅延, VR/AR, 高密度環境 -
CXL
(シーエックスエル) Compute Express Link 上級CPU、GPU、アクセラレータ、メモリ間の超高速インターコネクト規格。メモリコヒーレンシーを維持しながらヘテロジニアス計算を実現。CXL(Compute Express Link)は、Intel、AMD、NVIDIA、Samsung等が策定した次世代インターコネクト規格です。PCIe 5.0/6.0をベースとし、CPU、GPU、FPGA、専用アクセラレータ、メモリ間でキャッシュコヒーレンシーを維持した高速通信を実現します。異種プロセッサ間でのメモリ共有、プールドメモリ、コンポーザブルインフラストラクチャを可能にし、データセンターの効率化を推進します。
例: メモリプーリング, ヘテロジニアス計算, キャッシュコヒーレンシー, データセンター