IT用語辞典

Ethereum（イーサリアム）は、スマートコントラクト機能を持つブロックチェーンプラットフォームです。2015年にVitalik Buterinによって開発され、Bitcoinの単なるデジタル通貨機能を超えて、プログラム可能なブロックチェーンを実現しました。EVM（Ethereum Virtual Machine）上でSolidityなどの言語で書かれたスマートコントラクトが実行され、DeFi、NFT、DAOなどの基盤となっています。

Solidity（ソリディティ）は、Ethereumプラットフォーム上でスマートコントラクトを開発するためのプログラミング言語です。JavaScript、Python、C++に影響を受けたオブジェクト指向言語で、静的型付けをサポートします。コントラクト、関数、状態変数、イベントなどの概念を持ち、EVM（Ethereum Virtual Machine）上で実行されるバイトコードにコンパイルされます。

Web3.js（ウェブスリージェイエス）は、Ethereumブロックチェーンとやり取りするためのJavaScriptライブラリです。ブラウザやNode.js環境でEthereumノードに接続し、スマートコントラクトの呼び出し、トランザクションの送信、ブロックチェーンデータの取得などが可能です。分散アプリケーション（DApps）のフロントエンド開発に不可欠なツールです。

MetaMask（メタマスク）は、ブラウザ拡張機能やモバイルアプリとして動作するEthereumウォレットです。秘密鍵の安全な管理、ETHやERC-20トークンの保管・送受信、DAppsとの連携機能を提供します。Web3.jsと組み合わせて、ユーザーが簡単にブロックチェーンアプリケーションを利用できる橋渡し役として機能します。

ERC-20（Ethereum Request for Comments 20）は、Ethereum上のトークンの標準規格です。代替可能（Fungible）トークンの基本的な機能を定義し、transfer、approve、balanceOfなどの標準的な関数を規定します。この標準により、異なるトークン間で互換性が保たれ、ウォレットや取引所での統一的な取り扱いが可能になります。

ERC-721（Ethereum Request for Comments 721）は、Ethereum上の非代替性トークン（NFT）の標準規格です。各トークンが一意のIDを持ち、他のトークンと置き換えることができない特性を持ちます。デジタルアート、ゲームアイテム、不動産証明書などの唯一無二のデジタル資産を表現するために使用され、所有権の証明と移転が可能です。

DApps（Decentralized Applications）は、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを利用して構築された分散型アプリケーションです。従来の中央集権的なサーバーに依存せず、分散ネットワーク上で動作します。透明性、耐検閲性、単一障害点の回避という特徴を持ち、金融（DeFi）、ゲーム、ソーシャルメディアなど様々な分野で開発されています。

DeFiプロトコル（DeFi Protocol）は、分散型金融サービスを提供するスマートコントラクトの集合です。貸借、取引、資産管理、保険などの従来の金融サービスを自動化・分散化して提供します。Compound、Aave、MakerDAO、Uniswapなどが代表的で、相互運用性により異なるプロトコル間での連携も可能です。流動性プールとAMM（自動マーケットメーカー）の仕組みを活用します。

ステーブルコイン（Stablecoin）は、価格が安定化されたデジタル通貨です。法定通貨（USD、EUR）、商品（金）、または暗号通貨バスケットにペッグすることで価格の変動を抑制します。USDC、USDT、DAIなどがあり、DeFiエコシステムにおいて価値保存手段や取引媒体として重要な役割を果たします。担保型、無担保型、ハイブリッド型などの種類があります。

暗号通貨取引所（Cryptocurrency Exchange）は、暗号通貨の売買を仲介するプラットフォームです。中央集権型取引所（CEX）はBinance、Coinbaseなどで、運営会社が管理し、高い流動性と使いやすさを提供します。分散型取引所（DEX）はUniswap、SushiSwapなどで、スマートコントラクトベースで非管理的な取引を実現します。KYC要件、流動性、手数料が主な選択基準です。

Proof of Stake（PoS）は、暗号通貨の保有量（ステーク）に基づいてブロック生成者を選択するコンセンサスメカニズムです。Proof of Work（PoW）と比較して大幅にエネルギー消費を削減し、スケーラビリティを向上させます。バリデーターは自身の暗号通貨をステークとして預け、不正行為を行った場合にはペナルティとしてステークの一部が没収されます。Ethereum 2.0で採用されています。

Layer 2（レイヤー2）は、メインブロックチェーン（Layer 1）の上に構築されるスケーラビリティソリューションです。Lightning Network、Polygon、Arbitrum、Optimismなどがあり、メインチェーンのセキュリティを維持しながら、より高速で低コストな取引を実現します。ロールアップ、ステートチャネル、サイドチェーンなどの技術を使用し、オフチェーンで処理を行った後に結果をメインチェーンに反映させます。

オラクル（Oracle）は、ブロックチェーン外部の現実世界のデータをブロックチェーン上のスマートコントラクトに提供するサービスです。価格データ、天気情報、スポーツ結果などの外部情報を取得し、信頼性の高い方法でオンチェーンに反映させます。Chainlink、Band Protocol、API3などが代表的で、分散化されたオラクルネットワークにより単一障害点を回避し、データの信頼性を確保します。

クロスチェーン（Cross-chain）は、異なるブロックチェーンネットワーク間での資産移転や相互運用を可能にする技術です。Ethereum、Bitcoin、Polygon、Binance Smart Chainなど異なるチェーン間で、トークンやデータの移動を実現します。ブリッジプロトコル、アトミックスワップ、リレーチェーンなどの技術を使用し、各チェーンの独立性を保ちながら相互接続を実現します。

ガバナンストークン（Governance Token）は、DeFiプロトコルやDAO（分散自律組織）の意思決定に参加する権利を表すトークンです。保有者はプロトコルのアップグレード、パラメータ変更、資金配分などの重要な決定に投票できます。UNI（Uniswap）、COMP（Compound）、MKR（MakerDAO）などが代表的で、分散型ガバナンスによりコミュニティ主導の運営を実現します。

DAO（Decentralized Autonomous Organization）は、スマートコントラクトによって運営される分散自律組織です。従来の中央集権的な組織構造とは異なり、ガバナンストークン保有者による投票を通じて意思決定が行われ、実行も自動化されます。The DAO、MakerDAO、Uniswap DAO、Compound DAOなどがあり、資金管理、プロトコル開発、投資決定などを分散的に行います。

イールドファーミング（Yield Farming）は、DeFiプロトコルに流動性を提供することで報酬を獲得する戦略です。ユーザーは暗号通貨を流動性プールに預け、取引手数料やガバナンストークンなどの報酬を受け取ります。より高い利回りを求めて異なるプロトコル間を移動することから「ファーミング」と呼ばれます。流動性マイニング、ステーキング、レンディングなどの手法があります。

流動性プール（Liquidity Pool）は、分散型取引所（DEX）での取引を可能にする暗号通貨のペアです。ユーザー（流動性プロバイダー）が2つの異なる暗号通貨を等価値でプールに預けることで、他のユーザーがそのペア間での取引を行えるようになります。自動マーケットメーカー（AMM）アルゴリズムにより価格が決定され、流動性プロバイダーは取引手数料の一部を報酬として受け取ります。

AMM（Automated Market Maker）は、数学的アルゴリズムを使用して自動的に暗号通貨の価格を決定し、取引を実行する仕組みです。従来の注文書ベースの取引所とは異なり、流動性プールと価格決定アルゴリズム（多くの場合、定積アルゴリズム x*y=k）を使用します。Uniswap、SushiSwap、Curve Financeなどで採用され、24時間継続的な取引を可能にします。

ステーキング（Staking）は、Proof of Stake（PoS）ブロックチェーンネットワークの検証プロセスに参加するために、暗号通貨を一定期間ロックすることです。ステーカーは自身の暗号通貨を「ステーク」として預け、ネットワークのセキュリティ維持に貢献する代わりに報酬を受け取ります。Ethereum 2.0、Cardano、Polkadotなどで利用され、年利3-20%程度の報酬が期待できます。

ガス代（Gas Fee）は、Ethereumブロックチェーンで取引やスマートコントラクトの実行に必要な手数料です。計算処理の複雑さに応じて消費される「ガス」の量が決まり、ガス価格（Gwei単位）と掛け合わせて最終的な手数料が算出されます。ネットワークの混雑状況により価格が変動し、高額な手数料が問題となることもあります。EIP-1559により手数料構造が改善されました。

マルチシグ（Multi-signature）は、取引の実行に複数の秘密鍵による署名が必要なウォレットシステムです。「m-of-n」形式で設定され、例えば「2-of-3」では3つの鍵のうち2つの署名があれば取引が実行されます。単一の鍵の紛失や盗難に対するリスクを軽減し、組織での資金管理や高額資産の保管において重要なセキュリティ機能として利用されます。

ミント（Mint）は、新しい暗号通貨トークンやNFTを作成・発行するプロセスです。スマートコントラクトの mint 関数を呼び出すことで実行され、指定されたアドレスに新しいトークンが送信されます。ERC-20トークンの場合は総供給量が増加し、NFTの場合は一意のトークンIDが生成されます。ミント権限は通常、コントラクトの所有者や特定の権限を持つアドレスに制限されています。

フラッシュローン（Flash Loan）は、同一のブロックチェーントランザクション内で借用と返済を完了する必要がある無担保融資です。借りた資金は同じトランザクション内で必ず返済されるため、担保が不要で大きな金額の融資が可能です。アービトラージ取引、債務の借り換え、清算の実行などに活用され、Aave、dYdXなどのプロトコルで提供されています。高度な DeFi 戦略に使用されます。

MEV（Maximal Extractable Value、旧Miner Extractable Value）は、ブロック生成者（マイナーやバリデーター）が取引の順序変更、挿入、排除により抽出できる最大価値です。フロントランニング、バックランニング、サンドイッチ攻撃などの手法により利益を得ます。DeFiプロトコルでの大口取引に対して行われることが多く、一般ユーザーの取引コストに影響を与える問題として議論されています。

ラップトークン（Wrapped Token）は、異なるブロックチェーン上で利用できるように作成された代替トークン表現です。例えば、WBTC（Wrapped Bitcoin）はBitcoinをEthereumネットワーク上で利用可能にしたERC-20トークンです。元の資産と1:1でペッグされ、DeFiプロトコルでの利用や異なるチェーン間での流動性提供を可能にします。カストディアンまたはスマートコントラクトにより管理されます。

Ethers.js（イーサーズジェイエス）は、Ethereumブロックチェーンとやり取りするためのモダンなJavaScriptライブラリです。Web3.jsの代替として設計され、より軽量でモジュラーな設計を採用しています。プロバイダー、ウォレット、コントラクト、ユーティリティの4つの主要モジュールに分かれており、TypeScriptサポート、ENS統合、読みやすいAPIが特徴です。

ERC-1155（Ethereum Request for Comments 1155）は、代替可能トークン（FT）と非代替可能トークン（NFT）の両方を単一のコントラクトで管理できるマルチトークン標準です。複数のトークンタイプを効率的にバッチ処理でき、ガス代を大幅に削減できます。ゲーム業界で通貨とアイテムを同時に管理する用途で特に活用されています。