アーキテクチャ用語集【上級】

マイクロサービス、分散システム設計、高度なアーキテクチャパターンなど、システムアーキテクト・上級エンジニア向けの専門用語を学習できます

上級アーキテクチャについて

上級レベルのアーキテクチャでは、マイクロサービス、イベント駆動アーキテクチャ、CQRS、Sagaパターンなど、大規模分散システムの設計に必要な高度な概念を扱います。これらの知識は、スケーラブルで堅牢なシステムの構築に不可欠です。

用語数統計

総用語数: 25 初級: 3 中級: 7 上級: 15

アーキテクチャ上級用語一覧

15個の上級用語を詳細解説付きで紹介

  • マイクロサービス

    (マイクロサービス) Microservices 上級
    アプリケーションを小さな独立したサービスに分割するアーキテクチャパターン。各サービスが独立してデプロイ・スケール可能。

    マイクロサービス(Microservices)は、大きなアプリケーションを小さな独立したサービスに分割するアーキテクチャパターンです。各サービスは単一の責任を持ち、HTTP APIやメッセージングで通信し、独立してデプロイ・スケール・開発が可能です。Netflix、Amazon、Uberなどが採用し、組織の俊敏性、技術多様性、障害の局所化の利点がありますが、複雑性、分散システムの課題、運用コストの増加も考慮が必要です。

    例: サービス分割, API通信, 独立デプロイ, 分散システム
    分散アーキテクチャ 独立性 スケーラビリティ 俊敏性
  • イベント駆動アーキテクチャ

    (イベントくどうアーキテクチャ) Event-Driven Architecture (EDA) 上級
    イベントの発生と処理を中心とした疎結合なシステムアーキテクチャ。非同期通信により高いスケーラビリティと柔軟性を実現。

    イベント駆動アーキテクチャ(Event-Driven Architecture, EDA)は、イベントの発生、検出、消費、反応を中心に設計されたシステムアーキテクチャです。イベントプロデューサー、イベントルーター、イベントコンシューマーで構成され、Apache Kafka、RabbitMQ、AWS EventBridge等のメッセージブローカーを使用します。リアルタイム処理、疎結合、スケーラビリティ、復旧性の向上を実現し、IoT、金融、eコマースで広く採用されています。

    例: Kafka, イベントストリーム, 非同期処理, Pub/Sub
    イベント中心 疎結合 非同期 リアルタイム
  • CQRS

    (シーキューアールエス) Command Query Responsibility Segregation 上級
    コマンド(更新)とクエリ(読み取り)を分離するアーキテクチャパターン。読み書きの要件の違いに応じた最適化が可能。

    CQRS(Command Query Responsibility Segregation)は、システムの更新処理(コマンド)と読み取り処理(クエリ)を分離するアーキテクチャパターンです。Greg Youngが普及させ、複雑なビジネスロジック、高負荷システム、イベントソーシングとの組み合わせで威力を発揮します。読み書きのデータモデル、パフォーマンス特性、スケーリング要件の違いを活かした最適化が可能ですが、複雑性とデータ同期の課題もあります。

    例: コマンド・クエリ分離, イベントソーシング, 読み書き最適化, データ同期
    責務分離 最適化 複雑性管理 パフォーマンス
  • イベントソーシング

    (イベントソーシング) Event Sourcing 上級
    データの現在状態ではなく、状態変更イベントの履歴を記録する設計パターン。完全な監査ログと状態復元機能を提供。

    イベントソーシング(Event Sourcing)は、アプリケーションの状態を直接保存するのではなく、状態を変更するイベントの順序付きログとして保存する設計パターンです。イベントストアに不変のイベントを蓄積し、必要に応じてイベントを再生して現在状態を復元します。完全な監査ログ、タイムトラベル、複数のビュー構築、CQRSとの組み合わせなどが可能ですが、複雑性とストレージコストが課題です。

    例: イベントストア, 状態復元, 監査ログ, スナップショット
    不変性 監査性 状態管理 時系列データ
  • Sagaパターン

    (サーガパターン) Saga Pattern 上級
    分散システムにおける長時間トランザクションを複数のローカルトランザクションに分解し、補償動作で一貫性を保つパターン。

    Sagaパターン(Saga Pattern)は、分散システムにおいて複数のサービスにまたがる長時間実行トランザクションを管理するための設計パターンです。オーケストレーション(中央集権)とコレオグラフィ(分散)の2つのアプローチがあり、各ステップの失敗時には補償トランザクション(compensating transaction)を実行してロールバックします。マイクロサービスでの複雑なビジネスプロセス実行に不可欠です。

    例: オーケストレーション, コレオグラフィ, 補償トランザクション, 分散トランザクション
    分散トランザクション 一貫性 補償動作 長時間処理