クラウド用語集【初級】
クラウドコンピューティングの基礎概念、基本的なサービスモデル、入門レベルの仮想化技術など、初学者向けの重要な用語を学習できます
用語数統計
クラウドについて
クラウドコンピューティングは、インターネット経由でコンピュータリソースをオンデマンドで利用できるサービスです。従来のオンプレミス環境と比較して、初期投資の削減、スケーラビリティ、可用性の向上などのメリットがあります。
クラウド用語一覧
クラウドコンピューティングに関する重要な用語を詳細解説付きで紹介
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クラウドコンピューティング
(クラウドコンピューティング) Cloud Computing 初級インターネット経由でコンピュータリソースをオンデマンドで利用できるサービス。サーバー、ストレージ、アプリケーションなどを必要な分だけ利用可能。詳細説明:従来のオンプレミス環境と比較して、初期投資の削減、スケーラビリティ、可用性の向上などのメリットがあります。NIST(米国国立標準技術研究所)により5つの特徴と3つのサービスモデル、4つのデプロイメントモデルが定義されています。
5つの特徴:
- オンデマンドセルフサービス
- 幅広いネットワークアクセス
- リソースプーリング
- 迅速な弾力性
- 従量課金制
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AWS
(エーダブリューエス) Amazon Web Services 初級Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービス。世界最大のクラウドプロバイダーで、200以上のサービスを提供している。詳細説明:2006年にサービス開始し、現在世界の30%以上のクラウドマーケットシェアを持ちます。EC2、S3、RDS、Lambdaなど多様なサービスを提供しています。
主要サービス:
- EC2(仮想サーバー)
- S3(オブジェクトストレージ)
- RDS(マネージドデータベース)
- Lambda(サーバーレス)
- VPC(仮想ネットワーク)
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Microsoft Azure
(マイクロソフトアジュール) Microsoft Azure 初級Microsoftが提供するクラウドコンピューティングサービス。エンタープライズ向けに強く、Office 365との連携も優れている。詳細説明:Windows Serverとの親和性が高く、ハイブリッドクラウド構成に適しています。AI・機械学習サービスも充実しており、世界第2位のクラウドプロバイダーです。
主要サービス:
- Virtual Machines(仮想サーバー)
- Blob Storage(オブジェクトストレージ)
- SQL Database(マネージドDB)
- Functions(サーバーレス)
- Active Directory(認証サービス)
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Google Cloud Platform
(グーグルクラウドプラットフォーム) Google Cloud Platform (GCP) 初級Googleが提供するクラウドコンピューティングサービス。AI・機械学習、ビッグデータ解析に強みを持つ。詳細説明:Googleの検索エンジンやYouTubeと同じインフラを基盤としており、特にデータ分析、機械学習、Kubernetesなどの分野で先進的なサービスを提供しています。
主要サービス:
- Compute Engine(仮想サーバー)
- Cloud Storage(オブジェクトストレージ)
- Cloud SQL(マネージドDB)
- Cloud Functions(サーバーレス)
- BigQuery(データウェアハウス)
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SaaS
(サース) Software as a Service 初級クラウド上でソフトウェアアプリケーションを提供するサービスモデル。ユーザーはWebブラウザ経由でアプリケーションを利用できる。詳細説明:従来のパッケージソフトウェアと異なり、インストール不要でインターネット経由で利用できます。アップデートやメンテナンスはプロバイダーが行うため、ユーザーの管理負担が軽減されます。
代表的なSaaS:
- Google Workspace
- Microsoft 365
- Salesforce
- Zoom
- Slack
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パブリッククラウド
(パブリッククラウド) Public Cloud 初級第三者のクラウドプロバイダーが提供するクラウドサービス。複数の組織が共有するインフラを利用し、インターネット経由でアクセスする。詳細説明:AWS、Azure、GCPなどのクラウドプロバイダーが提供するサービスです。初期投資が少なく、使用量に応じた従量課金制で利用でき、最新技術をすぐに利用できるメリットがあります。
特徴:
- 低い初期コスト
- 従量課金制
- 高いスケーラビリティ
- 最新技術の利用
- グローバル展開
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プライベートクラウド
(プライベートクラウド) Private Cloud 初級単一の組織専用に構築されるクラウド環境。自社データセンターまたは専用の外部施設で運用され、高いセキュリティと制御を実現。詳細説明:組織が独自にインフラを管理するため、セキュリティ要件やコンプライアンス要求に柔軟に対応できます。初期投資は高額ですが、機密性の高いデータを扱う企業や規制の厳しい業界で採用されています。
メリット:
- 高いセキュリティ
- 完全な制御権
- カスタマイズ性
- コンプライアンス対応
- 既存システムとの統合
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ハイブリッドクラウド
(ハイブリッドクラウド) Hybrid Cloud 初級パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたクラウド環境。用途に応じて最適な環境を選択し、データとアプリケーションの移行が可能。詳細説明:機密データはプライベートクラウドで、一般的な処理はパブリッククラウドで実行するなど、ワークロードに応じた使い分けが可能です。両環境の長所を活かしながら、柔軟性とコスト効率を実現します。
利用パターン:
- データ分類による使い分け
- 負荷変動への対応
- 災害復旧
- 段階的移行
- コンプライアンス対応
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仮想化
(かそうか) Virtualization 初級物理的なコンピュータリソースを論理的に分割し、複数の仮想環境を作成する技術。サーバー、ストレージ、ネットワークの効率的利用を実現。詳細説明:1台の物理サーバー上で複数の仮想マシンを実行でき、リソースの有効活用、運用コストの削減、柔軟な環境構築が可能になります。クラウドコンピューティングの基盤技術です。
仮想化の種類:
- サーバー仮想化
- ストレージ仮想化
- ネットワーク仮想化
- デスクトップ仮想化
- アプリケーション仮想化
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仮想マシン
(かそうマシン) Virtual Machine (VM) 初級物理コンピュータ上でソフトウェアによって作成される仮想的なコンピュータ。独立したOSとアプリケーションを実行できる。詳細説明:ハイパーバイザーと呼ばれるソフトウェアが物理リソースを管理し、複数のVMに割り当てます。各VMは独立して動作し、異なるOSやアプリケーションを実行できます。
特徴:
- 独立した実行環境
- リソースの動的割り当て
- スナップショット機能
- 移行(マイグレーション)
- 高可用性
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ハイパーバイザー
(ハイパーバイザー) Hypervisor 初級仮想マシンを作成・管理するソフトウェア。物理リソースを複数の仮想環境に分割し、各仮想マシンのリソース割り当てを制御する。詳細説明:Type 1(ベアメタル型)とType 2(ホスト型)の2種類があります。VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、KVMなどが代表的なハイパーバイザーです。
ハイパーバイザーの種類:
- Type 1(ベアメタル型)
- Type 2(ホスト型)
- VMware vSphere
- Microsoft Hyper-V
- KVM
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クラウドストレージ
(クラウドストレージ) Cloud Storage 初級インターネット経由でアクセスできるデータ保存サービス。ファイルのバックアップ、同期、共有機能を提供し、どこからでもデータにアクセス可能。詳細説明:Google Drive、Dropbox、OneDrive、iCloud などがあります。複数デバイス間での同期、自動バックアップ、チームでの共有など、従来のローカルストレージにはない利便性を提供します。
主要なサービス:
- Google Drive
- Dropbox
- Microsoft OneDrive
- Apple iCloud
- Amazon Drive
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CDN(基本)
(シーディーエヌ) Content Delivery Network 初級世界中に配置されたサーバーからコンテンツを配信するネットワーク。ユーザーに最も近いサーバーからデータを配信し、表示速度を向上させる。詳細説明:画像、動画、CSSファイルなどの静的コンテンツを地理的に分散したサーバーにキャッシュし、ユーザーの位置から最適なサーバーを選択して配信します。
メリット:
- 表示速度の向上
- サーバー負荷の軽減
- 帯域幅コストの削減
- 可用性の向上
- グローバル配信
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スケーラビリティ
(スケーラビリティ) Scalability 初級システムが利用者数や処理量の増加に応じて性能を拡張できる能力。需要の変動に柔軟に対応し、サービス品質を維持する。詳細説明:垂直スケーリング(スケールアップ)と水平スケーリング(スケールアウト)の2つの方法があります。クラウドでは特に水平スケーリングが重要で、サーバー台数を増やして負荷を分散します。
スケーリングの種類:
- 垂直スケーリング(CPU・メモリ増強)
- 水平スケーリング(サーバー台数増加)
- 自動スケーリング
- 手動スケーリング
- 予測スケーリング
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弾力性
(だんりょくせい) Elasticity 初級需要に応じてリソースを自動的に拡張・縮小する能力。ピーク時には増強し、低負荷時には縮小してコストを最適化。詳細説明:スケーラビリティとは異なり、弾力性は双方向の拡張(拡張と縮小)を自動で行います。負荷が下がったときにリソースを削減し、コストの無駄を防ぎます。
特徴:
- 自動的な拡張・縮小
- 負荷に応じた調整
- コスト最適化
- リアルタイム対応
- 設定可能な閾値
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可用性
(かようせい) Availability 初級システムが正常に稼働し続ける能力。99.9%や99.99%などの稼働率で表現され、サービスの信頼性を示す重要な指標。詳細説明:可用性は通常パーセンテージで表され、99.9%(年間約8.7時間のダウンタイム)、99.99%(年間約53分)などの水準があります。高可用性を実現するため、冗長化、負荷分散、自動復旧機能が重要です。
可用性レベル:
- 99.9%(年間約8.7時間)
- 99.99%(年間約53分)
- 99.999%(年間約5.3分)
- 冗長化設計
- 自動フェイルオーバー
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クラウドサービスモデル
(クラウドサービスモデル) Cloud Service Models 初級クラウドサービスの提供形態を分類したモデル。IaaS、PaaS、SaaSの3つの主要なモデルがあり、それぞれ異なるレベルの管理責任を持つ。詳細説明:NISTが定義した標準的な分類で、下位レイヤーほどユーザーの管理責任が大きく、上位レイヤーほどプロバイダーの責任範囲が広がります。
3つのモデル:
- IaaS(Infrastructure as a Service)
- PaaS(Platform as a Service)
- SaaS(Software as a Service)
- 管理責任の分担
- 利用者の選択肢
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クラウドデプロイメントモデル
(クラウドデプロイメントモデル) Cloud Deployment Models 初級クラウド環境の展開方式を分類したモデル。パブリック、プライベート、ハイブリッド、コミュニティの4つの展開モデルがある。詳細説明:組織の要件、セキュリティニーズ、コスト制約、コンプライアンス要求に応じて最適なデプロイメントモデルを選択します。
4つのモデル:
- パブリッククラウド
- プライベートクラウド
- ハイブリッドクラウド
- コミュニティクラウド
- 選択基準
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クラウドバックアップ
(クラウドバックアップ) Cloud Backup 初級データをクラウドストレージにバックアップするサービス。自動化された定期バックアップにより、データの紛失や破損から保護する。詳細説明:従来のテープやディスクによるバックアップと比較して、地理的に分散した保存、自動化、暗号化、バージョン管理などの優位性があります。
主要な機能:
- 自動バックアップスケジュール
- 増分・差分バックアップ
- 暗号化
- バージョン管理
- 高速復元
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暗号化
(あんごうか) Encryption 初級データを暗号アルゴリズムで変換し、正しい鍵を持つ者のみが復号できるようにするセキュリティ技術。クラウドでのデータ保護の基本。詳細説明:クラウドでは保存時の暗号化(at rest)と転送時の暗号化(in transit)が重要です。AES-256、TLS、SSLなどの標準的な暗号化技術が使用されます。
暗号化の種類:
- 保存時暗号化(at rest)
- 転送時暗号化(in transit)
- AES-256
- TLS/SSL
- キー管理
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アクセス制御
(アクセスせいぎょ) Access Control 初級システムやデータへのアクセスを制限する仕組み。認証(誰か)と認可(何ができるか)を組み合わせてセキュリティを確保する。詳細説明:ユーザーID・パスワード、多要素認証、ロールベースアクセス制御(RBAC)、最小権限の原則などを組み合わせて実装されます。
主要な要素:
- 認証(Authentication)
- 認可(Authorization)
- 多要素認証(MFA)
- ロールベースアクセス制御
- 最小権限の原則
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コミュニティクラウド
(コミュニティクラウド) Community Cloud 初級共通の関心事、セキュリティ要件、コンプライアンス要求を持つ組織群が共有するクラウド環境。業界特化型のクラウドサービス。詳細説明:政府機関、金融機関、医療機関など、同じ業界や規制要件を持つ組織が共同でクラウド環境を構築・利用します。コストを分担しながら専門的な要件を満たせます。
利用例:
- 政府系クラウド
- 金融業界向けクラウド
- 医療機関向けクラウド
- 教育機関向けクラウド
- 業界特化セキュリティ
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従量課金
(じゅうりょうかきん) Pay-as-you-go 初級利用した分だけ料金を支払う課金方式。初期投資不要で、使用したリソースや時間に応じて料金が決まるクラウドの特徴的な料金体系。詳細説明:従来の固定費用とは異なり、実際の使用量に基づいて課金されるため、無駄なコストを削減できます。CPU時間、ストレージ容量、データ転送量などが課金対象となります。
課金対象:
- コンピュート時間
- ストレージ容量
- データ転送量
- API呼び出し回数
- リクエスト数
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リージョン
(リージョン) Region 初級クラウドプロバイダーがサービスを提供する地理的なエリア。複数のデータセンターから構成され、災害対策や法的要件への対応、レイテンシ最適化に重要。詳細説明:各リージョンは物理的に分離されており、災害や障害の影響を受けにくくなっています。また、データの保存場所を明確にすることで、各国の法規制やコンプライアンス要件に対応できます。
選択基準:
- ユーザーとの地理的距離
- 法的要件・コンプライアンス
- 利用可能なサービス
- 料金体系
- 災害対策
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アベイラビリティゾーン
(アベイラビリティゾーン) Availability Zone (AZ) 初級リージョン内の独立したデータセンター群。異なるAZにリソースを分散配置することで、単一障害点を回避し、高可用性を実現する。詳細説明:各AZは独立した電力、冷却、物理的セキュリティを持ち、高速ネットワークで相互接続されています。マルチAZ構成により、単一の障害がシステム全体に影響することを防げます。
特徴:
- 物理的に分離
- 独立した電力・冷却
- 高速ネットワーク接続
- 低レイテンシ通信
- 障害の局所化
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クラウドセキュリティ
(クラウドセキュリティ) Cloud Security 初級クラウド環境でのデータやアプリケーションを保護するセキュリティ対策。共有責任モデルに基づき、プロバイダーとユーザーが役割を分担。詳細説明:クラウドプロバイダーはインフラのセキュリティを、ユーザーはデータとアプリケーションのセキュリティを担当する共有責任モデルが基本です。
主要な対策:
- データ暗号化
- アクセス制御
- ネットワークセキュリティ
- 監査ログ
- コンプライアンス
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共有責任モデル
(きょうゆうせきにんモデル) Shared Responsibility Model 初級クラウドサービスにおけるセキュリティ責任の分担モデル。プロバイダーが「クラウドのセキュリティ」、ユーザーが「クラウド内のセキュリティ」を担当。詳細説明:クラウドプロバイダーは物理インフラ、ネットワーク、ハイパーバイザーのセキュリティを担当し、ユーザーはOS、アプリケーション、データの保護を担当します。
責任分担:
- プロバイダー:物理セキュリティ
- プロバイダー:ネットワーク制御
- ユーザー:データ暗号化
- ユーザー:アクセス管理
- ユーザー:アプリケーション設定